2012年1月9日月曜日

Grenoble INP, 志賀

あけましておめでとうございます。
工学研究科修士1年生の志賀と申します。

フランスのグルノーブル工科大学で一年間の交換留学をしています。

このブログを読まれている方は、多少なりとも留学に興味がある方でしょう。
その大多数はおそらく英語圏ないしは英語が広く使える北欧への留学を希望している方であると勝手に思っています。
私も以前はそうでした。はじめはアメリカへの交換留学を考えていました。
理系の学生が英語圏でないところに留学をしていることを不思議に思われる方もいらっしゃると思います。
あえてなぜフランスに留学することを決めたのか。そのあたりが皆さん興味をもっているかと思いますので、それに関係したことをここで書きます。

①動機(+なぜフランスにしたか)
②日々の生活(学業、遊びなど)
③(フランスに)留学をされたい方へ

の流れでいきます。

①動機

私が留学をしたいと決心をしたのは3セメころだったかと思います。ものすごく漠然とそう考えていましたが、特に何をすることもなく半年を過ごしました。

本格的に留学のために英語を勉強し始めたのは4セメからです。国際交流センターで借りた初級者用のリスニング教材と、東北大学のオンライン教材のアルクソフトで毎日最低2時間は勉強していました。センター試験のリスニングの偏差値が49だった私ですので、最初の勉強は本当に苦痛でした。リスニング教材を使って英語を聞いても馬の耳に念仏状態・・・。留学をしたいという強い思いでがんばってました。


5セメ6セメになり、学部の専門授業で実験が始まり少し忙しくなるも英語の勉強はコツコツ続けてました。学部4年生時での留学を当時考えていましたが、TOEFL ITPのスコアが交換留学1次選考の基準点を満たさなかったことと実験レポートや試験に追われて二次選考の書類を書く気力がなかったことから4年生時での留学はあきらめました。

今となってはあれでよかったのだと思います。留学前にある程度英語が使える(英語が上手下手に限らず英語を話すことに抵抗とか怖さがないという意味です)ようになっておくべきだと思うからです。留学して英語がしゃべれるようになるんじゃなくて、留学でさらに言語を磨き上げるほうが効率的でしょう。日本にいても英語を話す機会をみつけるのは難しくないですし、それくらいの努力を日本で怠っているようではだめです。

そうこうしているうちに4年生になり研究室に配属されました。ITPのスコアも基準点を超え、あとは書類を出すだけという状態にまでなりました。願書を出す前にいたって、留学先大学で悩み始め自分が留学で何をしたいのか分からなくなりました。そのときは北欧への留学が第一候補。理由は、北欧の英語は非常に綺麗な英語でスラングも少なく、英語力の向上にはすごいいいという話を経験者の方から聞いたため。
初めはもっと英語を使いたいという理由から目指した留学。しかし、留学生の友達を仙台でつくって英語を話しているうちに、そんなことは日本でもできることなんだだなという風に考えるようになっていました。じゃあ自分はなぜ1年という時間をさいて留学をしたいのか。そんな悩みをかかえつつ准教授に相談したときの答えがフランス留学を決めました。

「英語なんて世界どこにいても使う言葉だし、英語が使いたいから留学するっていうのはちょっと変だよね。それだったらヨーロッパの国にいって第二外国語の勉強をしたらいいんじゃない。」

衝撃的でした。だって、そんなこと思いもしなかったことだから。第二外国語の勉強って、そういや1,2セメのときに嫌々やったなスペイン語・・・。でも、考えてみようか。たしかに日本でさえも英語を使う機会がある。ネイティブの英語に触れる機会は少ないとしても、必ずしも聞く英語はネイティブである必要はない。だとしたら、第二外国語圏に留学すれば英語と第二外国語の二つを勉強できるんじゃないか・・・?

そんな理由で急遽留学先を提出前にフランスに変更(!)、その日からフランス語の勉強を始めました。なので、フランスに来る前にフランス語を勉強した期間は1年半です。あとでも書きますが、1年半では生活には全然不十分ですので今も日々苦労しています。



②日々の生活

私が現在取っている授業は留学者向けのインターナショナルマスターコースのもので、すべて英語で行われます。

日本の授業とほぼ同じです。違う点があるとしたら、少人数であることと、授業中の質問が多いことでしょうか。少人数であることは、そもそもこのコースの全人数が15人ほどしかいないからであり、質問の多さは学生の学ぶ姿勢にもとづいてるものだと思います。特にいま自分がとっているコースは海外から勉強しにくる学生のためのコースですので、日本の授業時の学生と比べると彼らはとても真剣なように見えます。

授業の先生は全員フランス人ですので授業の英語はもちろんネイティブではなくなまりがあります。英語力は本当にその先生ごとによって違い、ネイティブ並にきれいに話すかたもいれば、なまりがすごすぎて何をいっているか分からない人もいます(ここらへんは英語力があればカバーできるのでしょう。僕は留学している交換留学生のなかでも英語力は断然悪いですし、なかなか一回で意味をつかめません。いろいろな英語のアクセントを聞き、総合的な英語力があればそういったなまりの強い英語を聞いても理解できると推測しています。もっと英語の勉強もがんばらなくてはいけないと日々実感。)

では次は授業以外で、
フランスといえばバカンスというイメージがあるのではないでしょうか。事実、僕はそういうイメージを持っていましたし、こっちにきてもそれを確信しました。大きく3つのバカンスが学期中にあり、それぞれ1週間~10日ほどあります。フランスはヨーロッパのほぼ中央に位置しますので、ヨーロッパの旅行には絶好の場所であると思ってます(このことがフランスに決めた理由の一つでもあります・・・)。フランスの学生はあまり旅行しているイメージはなく、実家に帰るかゆっくりしているかで、留学生が盛んに旅行をしている感じです。もちろん僕は後者で、今まで2回バカンスがありましたが、どっちも旅行にいってました。

よく聞く、フランス人は英語をしゃべらないという話。これって本当だと思いますか?
百聞は一見にしかず。まだ滞在4ヶ月にも満たない自分の考えですが、あながち間違いではないと思います。スーパー、役所、大学の事務手続きなどは英語は基本使えません。駅の切符窓口での英語を使ったときの対応といったら。。。試してみてください。英語の使用率は日本並みか、日本よりも使えるぐらいだと私は思います。英語を使うポイントとしては、比較的若い人に話してみること(英語ができる可能性が高い)。一番やばいのはおばちゃん、おじちゃんにいきなり英語で話すこと。経験上シカトかI don't speak English的な感じで終了。



③(フランスに)留学をされたい方へ

ここでは自分の経験に基づいて、理系でフランス語(もしくは第二外国語)が上手に使えないが第二外国語圏の留学に興味があり、かつ第二外国語の使用が日々の生活で求められる語圏への留学を考えている方へ書きます。

Q:どちらの言葉が重要か
→間違いなく英語です。僕の場合授業はすべて英語ですので英語ができなければ授業についていけません。ただ第二外国語ができなければ生活はもちろん大変です。役所手続きといったら英語はつかえませんし、公文書、学校から送られてくるメール、はては英語オンリーの授業なのに配布プリントにはフランス語ですから読むのは非常にめんどいです。でもフランス人の友人をつくれば(英語が話せる)、ここら辺の問題は大方カバーできると思うので、そういう理由からも英語のほうが重要だと思います。しかし、あたりまえですが、ある程度の日常会話を話せるような状態で来るべきでしょう。フランス語が皆無で勉強している人もまぁいますが。ただ、少し話せるか話せないかの違いで、フランス人の対応もおそろしく変わるのは実感していますし、それだけでも確実に友好関係が広がっていきます。英語が一番ですが、ぜひとも第二外国語の勉強もがんばってください(自分がこんなこといえる立場ではありませんが)

Q:物価とかってどれぐらいか
→今住んでいる家の家賃は月30000円ほどです。決して安くはありません。もっと安いところもあります。
食べ物は日本よりも安いです。肉、野菜は安いですし、スパゲッティも日本よりは安いです(激安という感じではありませんが)。隣のドイツから来た学生の人が口をそろえて言うのはフランスは物価が高いということで、ドイツは食料品、住居費等もっと安いみたいです。今はだいたい月7万円ほどで生活しています(きりつめればもっと安くいけます)。

フランスに限らず第二外国語圏に留学することのメリットとしては、その国の言語を勉強できるというところに尽きると思います。本当に英語を使って高めたいのであれば、来る必要はまったくないでしょう。僕の場合はフランス語を生活でもっと使いたかっかたから、それにヨーロッパの文化に触れて生活をしたかったからという理由でフランスに決めました。ヨーロッパってアジアからしたら相当なじみがないですし、そういった新しい世界をこの目で見たかったからということです。

北欧という選択肢も本当に良いと思います。
ただ僕が一番言いたいのは、第二外国語を勉強することでその国についてもっと親しみをもてるし、そこからいろいろな英語しか話せない人と違った出会いとか経験を得ることができるということ。フランス語を勉強することでフランスに親しみが生まれ、そこからフランスの良いところ悪いところ、ないしはフランス人の国民性とか文化が見えてきてさらに親しみが深まる。そういった経験って非常におもしろくて刺激的で、新しい世界が開けるようなわくわく感、たまらないですよね。

学部4年生のときの特別授業で、学科のOBの方がおっしゃっていたセリフ
「英語ははなせてあたりまえ。だからどんな言葉でもいいから第二外国語の勉強を始めてみてください。それがきっとあなたの役にたちます」

今その意味を少し分かり始めた気がします。分かっているつもりなのかもしれませんが。役に立つのかどうか分からないけど、確実にこれは自分の財産の一部分、個性を形作るものになっている気がします。

長くなったのでここら辺で。もっと興味があるかたがいるのであれば、下のメールアドレスまで気軽に遠慮なくいつでもご連絡ください。
gash1178アットマークhotmail.co.jp

ここまで見てくださってありがとうございました。


志賀

0 件のコメント:

コメントを投稿